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栄華の「パチンコ偏愛体質」

第2回 なぜ撮るんですか?  店員さん編

 

 

パチンコ店の写真を撮っていると、色々な人に声を掛けられます。

 

 

営業しているホールなら、お店のスタッフやお客さん。閉業したお店だと、建物のオーナーさんやご近所の方、通りすがりのおじさま、おばさまなど。

 

 

現役ホールの店員さんは「他店のスパイじゃないか」「店内で撮った写真をSNSで拡散されるのでは」「ゴト師の下見では」と警戒して声をお掛けになるようですが、ちょっと事情を説明すればとりあえず怪しい者ではないとご理解頂けます。 ただ、私が好んで足を運んでいるレトロな小規模ホールさんは「なんでまたウチの店なんか…」と怪訝な反応をされることも多いので、そんな時は、

 

私はパチンコが大好き。

このホールはとっても素敵。

このホールに会うためにここへ来た!

 

という事実を、言葉、声のトーン、眼力、身振りなど使って全身でお伝えします(というか、伝える努力をしなくてもほとばしり出ます)。すると理屈抜きで、「コイツはなぜかウチの店にただならぬ魅力を感じているらしい」と分かって頂けるのか、「店内も好きなだけ撮っていいよ」と許可を下さったり、昼間なのにネオン看板を点灯して下さったり、三角プレートや食事札といった昔の備品が残っていないか探して下さるなど、夢のような出血大サービスを受けられることがあるのです。

 


【三角プレート・食事札が分からない方のために。こういうモノです】

 

 

九州地方のあるホールでは、店長さんが「玉場」を見せて下さいました。

 

 

玉場というのは、新しいパチンコ屋さんでは見られない設備です。パチンコ玉は、遊技に使用されるたび毎回洗浄(研磨)されているのですが、新しいホールの場合は、パチンコ台が設置されている遊技スペースと同じフロアで玉の洗浄と循環が完結します(「パチンコ台」と「洗浄と循環のための設備」が同じ空間にある)。

 

 

しかし昔は、使用済みの玉が一度地下(や別室)の玉場という所に集められ、そこで洗浄されたあと天井まで持ち上げられて、パイプのようなものを伝って再び台に供給されていました。

 

 

九州のこのホールも、すでに新しい循環システムに移行済みだったのですが、古い設備も使える状態で維持してあり、「今も動くから見せてあげるよ」と、玉場へ案内して下さったのです。

 

 

ちょっと言い訳します。このとき、ハプニング的な展開だったため心の準備がなく、舞い上がって玉場の「入口」の写真を撮り損じました。ということで、他のホールで撮った玉場の入口をお目にかけますね。

 

【東京都内に現存するホールです】

 

 

このように、お店の床に地下収納庫のフタみたいなものが付いていて、開けるとそこが玉場へと繋がっているのです。中は狭くけっこう深いので、梯子を使って慎重に降ります。

 

【これが九州のホールの玉場の中】

 

 

梯子から降りたところです。うーむ。広角レンズも持っていなかったので空間全体が把握できないですね。この梯子の左横には、こんな機械が鎮座していました。

 

【カッコいい!】

 

 

パチンコ玉の洗浄機です。中央のオレンジ色のパネルに何か書いてあるのでよく見ると…

 

【商品名と社名が!】

 

 

洗浄機の名は、ニュースター号コメット!

ニュースター号コメットですよ皆さん。すごいキラキラネームですね。「ニュースター」は社名から名付けたものと容易に想像できますが、「コメット」の由来は何でしょう? 店長さんが機械の作動スイッチをONにしたとき、その謎が解けた気がしました。

 

 

 

ほら、玉が流れてゆく様子が、なんだかすい星(コメット)のようではありませんか。パチンコ屋さんの地下空間ですい星を見られるとは、なんとロマンチックなんでしょう! …と思いたいところでしたが、機械が動く音は驚くほどの轟音。ほんの5グラムの玉が何万個も地下に集まって、飛びはねて、擦れて、キレイになって。頭が痛くなるような騒音を浴びながら「この音はホールが生きている証なんだ!」と胸がいっぱいになりました。

 

 

こんな感動体験をさせて下さった上、県内に残るレトロなホールの情報をたくさん教えてくれた店長さん。私よりお若い方のようにお見受けしたけど今も元気かな…。そう思ってホールの情報にアクセスしてみたら、「閉店」の文字を見つけてしまいました。

 

【昭和末期で時間が止まったような店内】

 

 

この写真は二度と撮れないんですね。

 

ここ数年、ホールの閉店が相次いでいます。「残念」と心を痛めていたら身体が持たないけれど、あの日の写真と動画を見ていたら、どうしても涙があふれてきました。