COLUMN

栄華のパチンコ偏愛月報

「ハンドドライヤーってどうなの?」

 

こんにちは。偏愛パチンコライターの栄華です。

 

連日、新型コロナウイルスのニュース続きで気が滅入っている方もおられると思います。こんな時は、何か憂さ晴らしになるような楽しい話題を! ……と思うのですが、実は「話したい、話さなきゃ」と思いながらタイミングを逸してきたコロナ関連の話題があるので書かせて頂きたいんです。

 

「ハンドドライヤーって結局どうなの?」

というお話です。

 

「パチンコ店に設置されたことをきっかけに他業種への普及が進んだ」と言われるハンドドライヤー。私はこれを「パチンコの周辺文化アイテム」のひとつと位置づけておりまして、その魅力をウェブ原稿やSNSなどで(たまーに)発信してきました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、商業施設や駅、サービスエリアなど公共的トイレのハンドドライヤーが使用休止になっているのをご存知の方も多いと思います。

 

 

この件について、私は今まで沈黙してきました。

 

あ、いや。なにか深い事情や忖度があったわけではないんです。ほんとに話すタイミングを逸していただけで。ただ、一言も言及しないのはハンドドライヤーマニアとしていかがなものか? と思うわけです。

 

おそらく私は「実際どうなの? 使用はやめるべき?」 と真実をめちゃくちゃ知りたがっていた人間の一人だと思います。ですので、使用休止が目立ち始めた段階で、ハンドドライヤーメーカー大手の某社さんに直接問い合わせておりました。ウェブサイトの問い合わせフォームから感染リスクについて質問したところ、とても丁寧な回答を頂きました。一部引用します(改行ママ)。

 


 

感染者の手洗いが不十分な状態であれば、ハンドドライヤーの

使用に関わらず(例えばペーパータオルを利用した場合など)、

蛇口やドアノブなどに触れられた場合に接触感染の可能性はあります。

また、ハンカチも繰り返し使用することでウイルスが手に付着して、

接触感染につながる可能性も考えられます。

したがって、ハンドドライヤーの使用が、その他の乾燥手段に比べて

感染リスクを高める要因になるとは考えておりません。

感染拡大予防のためには十分な手洗いが重要です。

断定的な回答は差し控えさせていただきますが、

弊社ハンドドライヤーは非接触式ですので、正しく手を洗い、

ウイルスを洗い流してからハンドドライヤーをお使いいただければ

問題ないと考えております(併せて、ハンドドライヤーの定期的な清掃をお願いいたします)。

 

——————————————-

 

「手洗いが不十分なら、どんな乾燥手段であろうが感染を広げてしまう可能性があり、ハンドドライヤーが他と比べて特別リスクが高いとは考えない」というご回答ですね。なるほど、正しい手洗いがいかに大切かが分かります。でも申し訳ないことに、この回答では知りたいことにいまひとつ手が届かないのですよね……。

 

そこで、これまでに集めたハンドドライヤーに関する資料の中から関連が深いと思われる内容をざっくり拾ってみます(ほんとに超ざっくり)。

 

⚫空気調和・衛生工学大会学術講演論文集に掲載された「ハンドドライヤー使用時における水滴の挙動」(竹内史朗・古橋 拓也・打田昌樹、2007年)という論文では、ハンドドライヤー使用時に「水滴の飛散」があることが報告されています。

 

⚫日本環境学会誌に掲載された「病院における手指温風乾燥機とトイレ環境の細菌汚染調査」(木村 聡・相澤 寿子・増山 智子・仲間恵美子、2008年)という論文には、「病院のハンドドライヤー使用時に飛散した水滴の中に多数の細菌が検出された」という内容が記されています。

 

⚫東京都健康安全研究センターは食品営業施設向けのリーフレットで「水滴の付着を防ぐため食材・食器等の付近にハンドドライヤーを設置しない」「トイレに設置する場合はノロウイルス食中毒防止のため、食品を扱う人の着衣に水滴が飛ばないよう」といった注意喚起をしています。

 

こうした「飛散した水滴が不衛生説」とは別に、「風が手に雑菌を吹き付ける説」もあり、その欠点を改善できることを謳い文句にしたハンドドライヤーを販売しているメーカーもあります(注※医療関係の滅菌室など衛生関連施設向けの製品です)。さらに「風が空気中の細菌やウイルスを拡散する説」はちょっとググれば数々出てきます。

 

「ハンドドライヤーが新型コロナウイルスの感染を拡大させる可能性」については、調査した文献や資料(一般に公開されているもの)がまだ存在せず、「使わないほうがいいの?」という問いには「はっきり分からない」と回答するのが誠実だと思われます。

 

実際、先ほどの質問メールのあと、同メーカーさんに電話でも色々と質問したのですが、「エビデンスがないので断言できないんです」と答えるほかないようで、ちょっとお困りのご様子でした。

 

人類の前に突如として現れた分からないことだらけのウイルス。感染リスクを高める可能性がほんの少しでもあるなら「使用休止にする」という判断も致し方ないのでしょう。

 

そして私自身の対応ですが、上記のことを鑑みて、「事態が終息するまでは、使用可能な施設であっても使わない」ことにしました。

 

ハンドドライヤーの不衛生説をいろいろ紹介してしまいましたが、あくまで「高度な衛生環境が必要な場面では注意が必要」ということであり、平常時であれば、商業施設やパチンコ店といった場所でナーバスになる必要はないという資料や意見が多いです。

 

大切なのは「しっかり乾かすこと」で、手に水分を残さないことで消毒効果は高まります。アルコール消毒を併用した場合、「ペーパータオル+アルコール」より「ハンドドライヤー+アルコール」の方が消毒効果が高いと報告する論文もあります(「手洗い時における乾燥方法がエタノールの手指消毒効果に及ぼす影響」村上和保・藤井沙織・杉山治代・多田理恵・玉川淳子、 2009年)。

 

(なお、文献が古いというご指摘もあるかと思いますが、私の観察上は、パチンコホールに設置されているハンドドライヤーの半数以上が2010年以前の製品でしたので実情に合っていると思います)

 

パチンコは、計画性のない遊び方をすると生活を破綻させる悪魔の遊技になりえますが、リスクを理解してコントロールできれば読書や映画鑑賞等と同様に人生を豊かにする趣味になります。「長所と短所をちゃんと理解して付き合うことが大切」という点で、パチンコとハンドドライヤーには似たところがあるのではないでしょうか(すごく強引)。

 

晴れて感染拡大が終息した暁には、両手で風を受けめ止められる喜びを心ゆくまで噛み締めたいと思います。それまでは、自分で撮り集めたハンドドライヤーの写真を眺めてじっと我慢です。